最近の大学入試においては、私立、国立ともに推薦入試の割合が年々増加しています。
推薦入試の場合、評定平均値(通知表の成績)が重要ですが、それ以外にも資格取得によっても加算が得られます。
一般入試においても、資格取得で加算が得られたり、大学の独自入試の代わりとして認められることがあるので、ぜひ取得したいところです。
受験に役立つ資格としては英検が有名ですが、他にどんな資格があるのかを紹介します。
また、英検などの英語資格が実際の入試においてどのように役立つのかについても分かりやすく解説します。
大学受験において使える「資格・検定」
英語系の資格は多数の大学で利用できますが、そのほかの資格は利用できる大学は少なく、学部・学科が限られていることもあります。
必ず希望する大学の入試要項で確認することが大切です。
推薦入試の場合は明記はされていなくても、書類選考で評価されたり活動実績としてアピール出来ることもあるので興味のある資格があれば取得するのもいいでしょう。
英語系検定
英語においては4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)満遍なく学ぶことが重要視されており、入試改革が検討されております。
しかし、現時点では共通テストや大学の独自入試にて公平なスピーキングテストを行うことが困難なことから英語外部試験を利用する大学が年々増加しています。
英語外部検定はいくつかありますが、どれを採用するのかは大学の判断になります。
採用率としては英検が最も高いので、希望する大学が決まっていない時はとりあえず英検を受験しましょう。
英検
公益財団法人日本英語検定協会の主催する試験です。
受験できるのは、従来方式は6月10月1月の年3回となります。
ペーパーベースの従来方式と新方式の英検S-CBTがあります。
が、どちらを受けても評価は変わらないので、好きな方を選択して大丈夫です。
受験料は他の英語試験より安く、級によってことなりますが、2級で個人受験は9,700円となります。
結構高くないですか?
うちは1回落ちてからは準会場で受けています。
学校や塾(準会場)の場合は3千円ぐらい安く受験できます。
しかも希望する準会場に申し込むことになるので、自宅近くで会場があれば便利です。
本会場で申し込んだら、車でしか行けない1時間ぐらい離れた会場を指定され、親子で大変でした。
新方式の英検S-CBTはパソコンを使って解答し、1日で4技能すべての試験を行います。
毎週土日に開催されているため、従来方式よりも受けやすいです。
政令指定都市のみたいな都市部では開催されますが、地方ではないです。
次女が英検2級3回も落ちたので、今度東京に受けに行ってきます(´;ω;`)
TEAP
アカデミック英語能力判定試験(TEAP)は、日本英語検定協会と上智大学で共同開発された試験です。
難易度の目安としては、英検準2級~準1級程度です。
ペーパーベースのTEAPとパソコンで受験するTEAP-CBTがあります。
受験できるのは、TEAPが7月9月11月、TEAP-CBTが6月8月10月の年3回ずつあります。
受験料はTEAP・TEAP-CBT変わらず4技能で15,000円。
TEAPのみ2技能選択でき6,000円です。
試験開催都市はTEAPで26都道府県、TEAP-CBTは13都道府県。
英検より開催地がだいぶ少ないので、地方にお住まいの方には負担となるかもしれません。
IELTS
ブリティッシュカウンシルとケンブリッジ大学英語検定機構、IELTSオーストラリアが共同運営している試験です。
国際通用性が高く、140ヵ国、合計1万以上の機関で認定されています。
海外留学時の英語力の証明やイギリス、オーストラリア、カナダなどへの海外移住申請に最適な試験で、日本国内の入試にも採用されつつあります。
試験は毎週行われているので、受験しやすいですが、試験開催都市は全国16都市しかありません。
受験の際に期限が有効なパスポートが必要となるので、要注意です。
受験費用は25,380円です。
少し受験料が高いですが、海外でも通用する試験ですので、受けておいて損はありません。
GTEC
ベネッセがアメリカのテスト会社と共同で開発した試験です。
レベルによって4つのコースがありますが、どのコースを受検しても一本の評価軸でスコア測定できます。
4つのコースのうち、Advanced,Basic,Coreは学校での受検。
CBTは各都道府県の公開会場で行われています。
CBTは7月11月3月の年3回行われており、年間2回までの受検が可能となっています。
受検料は9,900円と英検と同じくらい安く受けることが出来ます。
TOEFL
アメリカのETSが英語を母語としない人々を対象に開発した世界基準の英語能力測定試験です。
全国各地の試験会場にて毎週末実施されているので受験しやすいです。
受験する際にはパスポートもしくは学生証と顔写真付きの身分証の2点が必要となります。
受験料はUS$245(現在1ドル113.5円なので約27,800円)です。
Writingテストでは手書き解答は認められておらず、タイピングのみとなっているので、苦手な人は慣れておく必要がありますね。
大学入学後、アメリカの大学への留学を希望する人は受けておいた方がいいでしょう。
TOEIC
アメリカのETSがコミュニケーションに必要な能力を客観的に評価するために開発した試験です。
TOEFLが留学を希望する学生向けで、TOEICは就職活動時などに使われるビジネス英語といった感じでしたが、最近では大学入試時に利用できる大学も増えています。
TOEICはL&R(リスニング・リーディング)とS&W(スピーキング・ライティング)の2種類があります。
大学入試時のは4技能要求されることが多いので、両方受験する必要があります。
受験料はL&Rが7,810円、S&Wが10,450円となっています。
L&Rは全国各地の試験会場で毎月開催されていますが、S&Wは大阪・東京で2か月に1回だけの開催となっています。
試験内容がビジネスの場面だったり、単語もビジネス用語や経済に関する単語が出てくるので、高校生にはなじみにくいかもしれません。
数学系検定
「実用数学技能検定」いわゆる数検があります。
個人受験では年3回実施されています。
高校3年程度とされている準1級では、受験料は6,700円です。
大学入試時における活用法としては、推薦入試や総合型選抜時の自己アピールの1つとして利用できます。
国語系検定
「日本漢字能力検定」いわゆる漢検があります。
個人受験では年3回実施されています。
高校卒業レベルの2級で、検定料は3,500円です。
簿記系検定
全国商業高等学校協会が主催する全商簿記と、日本商工会議所が主催する日商簿記の2つがあります。
経済、経営系や商学部などの大学で推薦入試や総合型選抜時に優遇されることがあります。
商業系高校以外では簿記を学ぶことはないので、普通科の学生には少しハードルが高いです。
とても難しい試験になりますが、 横浜商科大学はなんと日商簿記1級合格で学費が全て免除になる奨学金制度があります。
情報系検定
情報処理推進機構の主催する情報処理技術者試験があります。
IT系の入門的知識が問われるITパスポート、その上の基本情報技術者試験や応用情報技術者試験があります。
ITパスポートまでは勉強すれば合格できますが、それ以上の試験はプログラミング知識も必要になるため難しい試験です。
情報系や経済学部などの大学で推薦入試や総合選抜時に優遇されることがあります。
コロナ禍によりIT系関連技術の需要が伸び、受験生にも人気になりつつある情報系学部を希望する人にはおススメ資格です。
資格・検定は高校2年時に受験する
資格・検定の有効期間はその試験によって異なります。
大学受験時に2年以内に実施された資格・検定のみが有効となることが多いので、高校2年生時に受験しておくといいでしょう。
もちろん試験に慣れるため、現時点でのスコアを知るために高校1年生時から受験することをおすすめしますが、必ず高校2年時に再度受験するようにしてください。
英語検定のIELTSの場合は、受験時に有効期限のあるパスポートが必要となります。
受験希望する人はパスポートの取得もしっかり計画に入れて下さい。
推薦入試や総合型選抜や中堅大学以下では関連する資格・検定の取得が大きなアピールポイントとなります。
が、難関大学の一般選抜では資格取得の労力の割には有利とならないことが多いです。
資格・検定は高校2年時までに取得し、高校3年時では受験勉強に専念できるようにしましょう。
長女は高校1年時に英検準1級合格したので、利用してません。毎週実施されているIELTSかTOEFLも検討しましたが、パスポートもマイナンバーカードもなく、出願までに間に合わず・・・。
英語系資格で1番採用率が高いのは英検なので、どの試験を受けようか悩むようでしたら、英検がおすすめです。
スコアも出ますが、段階的に受験できるので、高校1年時に準2級を取得し、高校2年で2級とステップアップしていけます。
大学受験で利用するためには、最低で英検2級の合格が必要です。
難関大学では準1級もしくは高得点での2級合格でないと他の受験生よりも有利にはなりません。
英検は2級と準1級のレベルの差が大きいので、準1級合格が難しそうな場合はスコア型の検定の受験を検討するとよいでしょう。
実際、大学受験において英語資格がどのように扱われるか。
英語外部試験利用ができる大学において、実際どのようにスコアが扱われるのかを各大学の入試要綱より調べました。
大学によっては英検準1級を取得しても、一般入試では有利とならないこともあります。
必ず希望する大学の入試要項をよく読み、検討してください。
明治大学全学部統一入学試験での英語換算
明治大学の全学部統一入学試験では各種の英語外部検定の結果が利用できます。
英検の準1級、TOEFLの72点以上、IELTSの5.5以上などの成績があれば、英語が100点満点に換算されます。
外部検定の成績は段階的に評価され、英検2級(1980点以上)、TOEFL42点以上、IELTS4.0以上であれば80点に換算されます。
経営学部を受験すると仮定します。
英語外部試験利用では合格最低得点率が85.7%、利用しない場合は75.4%となっており、利用する場合は350満点で10%も高く得点しなくてはなりません。
外部検定の成績が0.9倍換算基準に達したとすると、135点となります。
3科目方式で英語150点でその他科目が100点ずつの満点が350点。
2021年度の合格最低点が300点となっているので、残り165点を2科目で取ればいいことになります。
2科目82.5点ずつ得点しなくてはならないので、英語4技能利用方式を選択しても、利用しない場合の合格最低得点率が75.4%と比較すると有利とは言えません。
外部試験の成績が満点換算基準に達していれば、残り2科目75点ずつの得点ですみますが、利用しない場合と大差ありません。
このように一般受験の場合、英語利用が得になることばかりではないので、希望する大学の入試要項でしっかり確認しましょう。
東洋大学情報連携学部で英語外部試験を利用した場合
東洋大学の前期試験ではすべての学部で大学独自の英語試験の代わりに外部試験の成績を換算されたスコアを利用することが出来ます。
情報連携学部の一般前期3教科理系均等配点を受験すると仮定します。
英語・数学・理科の各100点ずつの300点満点の試験となります。
この時英語外部試験の成績が90点換算だったとすると、合格最低得点が158点のため、残りの2教科で34点ずつ得点すればいいということになります。
100点満点の34点でも合格できるとなるとだいぶ負担が減りますよね。
ちなみに外部試験を利用せず、大学の英語試験を受ける場合は英数理の各科目52.7点ずつとなります。
このように単純に大学の独自テストの代わりに利用できる大学では、英語外部試験を受けておくことが大変有利です。
入試では一度の試験の成績で決まってしまいますが、外部試験は複数回受験しもっともよいスコアを利用できることもメリットです。
大学受験のための資格・検定は戦略的にとろう
大した努力もせずに取れるような資格では、大学受験時に有利となるようなことはありません。
少しでも良いスコア・級がとれるように高校1年時からしっかり計画し、勉強していくことが大切です。
英語外部試験以外は希望する学部に関連がある場合のみ取得すればよいでしょう。
英検準1級レベルでも文法は高校で習う範囲で十分です。
日々の学校の授業の復習と語彙力の強化が重要です。
大学受験においては推薦でも一般受験でも英語から逃れることはできません。
学校で配布された単語帳でもいいので、語彙力アップを今日から始めましょう。